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◎検査内容                                                                                                                 

 

VMI(Developmental Test of Visual-Motor integration)              視覚―運動 統合発達検査

TVPS-3rd (Test of Visual-Perceptual Skills-3rd)                             視知覚スキル検査―3

DTVP-3(Development Test of Visual Perception-Third Edition)     視知覚検査―3

MVPT-4 (Motor Free Visual-Perceptual Skills-4)                             選択型視知覚スキル検査―4

DEM (Developmental Eye Movement Test)                                       眼球運動発達検査

NYSOA K-D TESTK―D                                                                   眼球運動発達検査

(New York State Optpmetoric Association King-Devick Test)

DAM (Draw A Man)                                                                               グッドイナフ人物画知能検査

フロスティグ                                                                                        視知覚発達検査

NSUCO                                                                                                    眼球運動検査

(Northeastern State University College of Optometry Oculomotor Test) 

視覚機能は、大きく3つに分けられます。「入力機能」、「視覚情報処理機能」、そして「出力機能」です。「入力機能」は視覚情報を正確に効率よく眼に取り入れるために必要な機能であり、視力、眼球運動機能、両眼視機能があります。 これらの機能を眼科検診として検査し、患者さんの状態を総合的にとらえます。下記の中から、患者さんに合わせた検査を複数組み合わせて施行します。

☆TVPS-3rd(Test of Visual-Perceptual Skills-3rd)
視知覚スキル検査―3

この検査は複数の幾何学図形を対象として、視知覚情報の認知能力をみるものです。患者さんにとって「言語」を必要とせず、「図形」を視覚的に選別する検査ですから、文化や知識に左右されず、幼いお子さんから年配の方まで受けられる検査です。 
TVPS-Rには7つの項目(下位検査)があります。各下位検査の得点は、3ヶ月単位の月齢で統計的に同年齢の子どもと照合され数値化します。また、総合的な評価も数値として報告します。 

以下は、TVPS-Rの7項目(下位検査)の内容です。

【1】識別<Visual Discrimination>
視覚的マッチング能力が問われます。 
マッチングとは、どれとどれが同じだと見極めることですが、図形の特徴に関して自分なりの概念をつかめないと、はっきりと「あっ、同じだ。」というふうに選べず、「なんとなく、同じ感じ。」とか、あるいはよくわからないといったことが起きます。

【2】単一図形の記憶<Visual Memory>
視覚的短期記憶の能力が問われる下位検査です。 
視覚的な情報が、短時間でも正確に記憶に残らないと、刻一刻と瞬時に身の回りで起こる出来事や状況をうまく関係付けられません。作業をしていても 「あれ、なんだったけ?」といつも確認しなくてはならなかったり、あるいは、よいと判断して、一生懸命にしたことが勘違いだったりしかねません。

【3】空間関係<Visual Satial-Relationshis>
図形の形状に対する視覚的な上下左右の認知能力が問われます。
実はこの上下左右の感覚は自分の体を中心に培ってきたものです。3次元空間では前後の感覚も加わります。この感覚が未発達ですと、字を覚えにくかったり、鏡文字を書いたりということがおきかねません。また、自分を中心として空間を把握できてこそ、自分以外の人にとっての何がどのような関係におかれているかを、理解できるのです。


【4】恒常性<Visual Form-Constancy>
恒常性の能力というのは、ひとつの対象が条件や環境が変わっても、同じであると把握できることです。その対象に関して概念がつかめないと難しいことです。たとえば、文字やマークなどは日常の様々な場面にあふれています。ひとつの漢字でも、本に印刷されているものと、学校の先生が黒板に書いたものが、同じであると把握できないと学習がうまくいきません。

【5】連続図形の記憶<Visual Sequential Memory>
2の「単一図形の記憶」よりも、記憶のあり方に、対象に関してその構成を把握する能力やカテゴリー化の能力が求められます。

【6】図と地<Visual Figure-Ground>
自分に必要な視覚的情報が「図」と呼ばれるものです。「図」が隠れている対象には、余分な情報も密集して描かれています。その余分な部分が「地」と呼ばれるものです。この下位検査では、自分にとって必要な視覚的情報だけを、合理的に浮き出させて取り出す判別能力が求められます。日常でも物を探す時や、学習時の、たとえば本の文字列から要となる言葉をつかみだすといった時にも必要な能力です。

【7】閉合<Visual Closure>
見え無いものをイメージしながら、対象の全体像を想像する必要があります。小刻みな手がかりをイメージで、うまくつなげないと、まちがった全体像を連想してしまいます。 また、眼球運動の機能がうまくいかないと、ばらばらに見えたりします。 

なお、眼球運動は他の項目すべてでも必要とされることです。

 

☆DTVP-3(Development Test of Visual-Perception-Third Edition)
視知覚検査―3

この検査は、一般に使われているフロスティグ視知覚発達検査を多岐に発展させたような検査です。基本的な線から複雑な図形までを描いてもらう下位検査と、指示に沿って選択肢の中から選んで答える下位検査が交互に施行されます。前者は主に眼と手の協応を通して視覚情報処理能力が測られ、後者は内的な認知能力そのものが検出されます。

被検査者 (検査を受ける方)にとって、「言語」を必要とせず、「図形」を視覚情報として扱う検査ですから、文化や知識に左右されず、幼いお子さんから年配の方まで受けられる検査です。
結果は、各下位検査の標準得点(平均 10)と、全体を通した総合的視覚指数(平均100)で報告します。 

 

☆MVPT-4 (Motor Free Visual-Perceptual Skills-4)
選択型視知覚スキル検査―4

この検査は複数の幾何学図形を対象として、視知覚情報の認知能力をみるものです。

患者さんにとって、「言語」を必要とせず、「図形」を視覚的に選別してもらう検査ですから、文化や知識に左右されず、幼いお子さんから年配の方まで受けられる検査です。

検査結果は「視覚指数」、「パーセンタイル」、「視覚年齢」でご報告します。

MVPT-3では、識別、単一図形の記憶、空間関係、恒常性、図と地、閉合の能力が、総合的に検出されます。

 

☆VMI(Developmental Test of Visual-Motor integration)
視覚―運動 統合発達検査

VMIは「眼と手の協応」の能力や、それに伴う視覚的な認知能力をみる検査です。視覚からの情報を駆使し、新たに自分の手で何かを生み出すためには、見た対象に関して、適切な概念をつかめる必要があります。 

この検査の対象は文字ではないので、文化や知識に左右されず、幼いお子さんから年配の方まで受けられる検査です。結果は2ヶ月単位の月齢別に統計処理し数値化されます。

☆DEM(Developmental Eye Movement Test)
眼球運動発達検査

この検査は小学生から成人を対象に施行します。 

縦(垂直)方向、または横(水平)方向にランダムな間隔で並ぶ数字の処理能力から、眼球運動の発達をみる検査です。結果は、年齢単位で同時期の多くの子どもたちのデータと比べています。この検査では、身体のバランス感覚から派生する眼球運動能力が発達していないと「行」がつかめず、斜めに数字をおったり、飛ばしてしまったり、反対に同じ箇所を何度か読んでしまうといったことが起きます。

 

☆NYSOA K-D TEST(New York State Optpmetoric Association King-Devick Test)
K―D 眼球運動発達検査

この検査は衝動性眼球運動の発達をみる検査ですが、あらかじめ眼球運動が円滑でないことが予測される子どもの患者さんに施行しています。ステップごとに能力を補助するための工夫がしてあります。結果は、年齢単位で同時期の多くの子どもたちのデータと比較しますが、この検査で把握される内容は、検査数値そのものよりも、子どもの状態を理解し発達にあった支援を考えるデータとして有用です。

 

☆DAM (Draw A Man)
グッドイナフ人物画知能検査

この検査は、人間の顔や身体をどう把握しているかという点から発達をみる検査です。絵の上手下手ではありません。「人」を描くためには、自分自身の身体感覚のイメージや他者の観察が必要です。 

お友達の顔や手の表情など、何気ない身体のジェスチャーの意味を理解したり、自分からも表現できることは楽しいことです。これらは単に見えているのではなく、見て感じたり理解するもので、視覚認知能力を伴った社会性にも関係します。 

 

その他の検査

知能検査といわれるものですが、この検査により動作性の知能や発達のすべてが分かるわけではありません。患者さんが「人」だけではなく、あらゆるものに向ける視覚の豊かさを育むために参考になる検査です。

☆WISC-IV 知能検査

WISC- IV(ウィスク・フォー)は知能検査です。複数の下位検査の評価から「全検査 IQ (いわゆる知能指数)」が導き出されます。知能指数は同年齢の子どもの平均を 100 として表される数値です。
また、「言語理解指標」「知覚推理指標」「ワーキングメモリー」「処理速度指標」という 4 つの観点から指標得点が検出されます。このように複数の下位検査を吟味することにより、その子どもの学習能力の特徴が見えてくる場合があり、その後の療育の資料となる有意義な検査です。 

 

☆読み書き障害に対するスクリーニングテスト

発達性読み書き障害(発達性dyslexia)の診断には、客観的な学習到達度の評価と、全般的な知能検査、音韻認識や自動化、視覚認知など読み書きの習得に関与する認知機能検査、といった複数の検査が必要です。生活年齢(学年)や状態に合わせて、以下のような検査を組み合わせて行います。

【1】読み書きの到達度を評価する検査:標準読み書きスクリーニング検査(STRAW-R)

標準読み書きスクリーニング検査は、小学校1年生から高校生までを対象に標準化された日本語(ひらがな、カタカナ、漢字)の読み書きの学習到達度を評価する検査です。

 読みの流暢性をみる課題:ひらがな・カタカナの単語と非語、文章の速読

 読み書きの正確性をみる課題:ひらがな・カタカナの1文字(モーラ)および単語、漢字単語の音読と書き取り

【2】聴覚性記憶検査:Ray's Auditory Verbal Learning test (RAVLT)

日本語の有意味語を用いた、聴覚的な長期記憶力をみる検査です。発達性ディスレクシアの方は、この検査結果が良好なことが多く、よりよい学習方法を検討するためにも重要な検査です。

 再生課題:検査者の発する単語(リストA)を復唱しつつ記憶し、口頭で再生します。これを複数回行います。

 干渉課題:それまでと異なる単語(リストB)を聞いて記憶し、再生します。

 干渉直後再生課題:複数回実施した方の単語(リストA)を再生します。

 遅延再生課題:一定の時間をおいて、複数回実施した方の単語(リストA)を再生します。

【3】音韻認識能力検査

音韻認識能力とは「言語の規則(音韻体系)の通りに、語音を操作する能力」です。日本語のルール(いわゆる五十音)にしたがって、ひとつひとつの音を操作する力であり、“聞く・話す”領域だけでなく、“読む・書く”領域にも深く影響しています。主に、以下の検査項目を実施します。

 削除課題:検査者が発した単語から、指定された音だけを削除して答える課題

 逆唱課題:検査者が発した単語を逆から言う課題

【4】自動化能力を評価する検査:Rapid Automatized Naming(RAN)

提示された絵や数字を見て素早く呼称していく課題で、意味や記号に対応する語音を素早く想起する能力をみます。この検査は、STRAW-R内に含まれています。

【5】語彙理解力検査:絵画語彙発達検査(PVT-R),標準抽象語理解力検査(SCTAW)

文字の読み書きには、語彙知識の影響も大きいため、言語性意味理解力についても評価することが重要です。検査者が音声や文字で提示した単語を聞き取り、単語が示す意味と合致する絵を選ぶ課題です。


 

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